年金受給者は65歳以上ですので、退職されている方が多いかもしれません。
65歳以降年金と金融資産で生活している家庭の健康保険料の計算方法を示します。
- 金融資産は源泉徴収される分離課税なので保険料の計算に関係しません
- 他に収入があると控除額を引いた課税所得分が年金額の課税年金所得と合算されます
健康保険料は前期(65歳〜74歳)と後期(75歳以上)で計算方法が変わります。
前期から後期に移るときに保険料が増額になる方が多くなります。
75歳で収入が増える高齢者は少ないと思いますので、75歳からの保険料の値上げを見込んでおく必要があります。
保険料は年金額から源泉徴収されるので年金額の減少に驚く高齢者もおられると思います。
保険料は、均等割額と所得割額の合計になります。
年金所得控除
年金は税法上、雑所得に分類されます。
雑所得は、必要経費を控除できます。
公的年金は、公的年金等控除があります(確定拠出年金も対象です)。
75歳以上の公的年金控除額は、以下になります。
公的年金額 | 公的年金等控除額 |
---|---|
330万円未満 | 120万円 |
330万円〜410万円未満 | 収入金額の25% + 37.5万円 |
410万円〜770万円未満 | 収入金額の15% + 78.5万円 |
770万円以上 | 収入金額の5% + 155.5万円 |
厚生年金保険料には以下の上限があり、40年間上限額の保険料を支払った方の年間年金額は約300万円です。
300万円を超える年金は、厚生年金でなく企業年金や年金基金などがあります。
- 月額標準報酬(給与)が62万円
- 賞与は1回150万円
控除額が120万円あるので国民年金の方は所得割額はゼロになります。
均等割額
均等割額は地域により変わります。
年齢にかかわらず家族一人あたりの一定額です。
収入のない方や子供にも保険料はかかりますが、保険料金は世帯主(後期高齢者を除く)が子供分も含めて支払います(会社員の被用者保険は扶養者の保険料負担はありません)。
年間の均等割額は、新宿区を例に取ると以下になります。
- 医療分:35,400円
- 後期高齢者医療支援分:10,800円
- 介護分:14,700円(年金受給者は別途介護保険料を支払うので介護分はありません)
所得割額
年金額から上に示した公的年金等控除額を引いた課税年金額(年金以外の収入があればその課税所得の合算)から基礎控除額33万円を引いた額に以下の所得割率をかけて計算します。
この所得割率も地域により変わり、新宿区を例に取ると以下になります。
- 医療分:6.86%
- 後期高齢者医療支援分:2.02%
- 介護分:1.43%(年金受給者は別途介護保険料を支払うので介護分はありません)
前期高齢者と後期高齢者の保険料の違い
前期高齢者は地域(東京の場合は区市町村)で変わりますが、後期高齢者は都道府県で変わります(どの区市町村に住んでいても都道府県で一定)。
一般に都心部よりも郊外(東京では多摩地域の市町村)の保険料が安くその差は年金額によりますが数万円になります。
安い地域に住んでいる方は、後期高齢者になると数万円保険料が上がります(年額)。
2016年07月20日(水)